iPhone 3GS が登場してから、すっかり iPhone ユーザーなのですが、今の仕事がスマートフォンアプリ開発であることや、世界的なシェアを見ても Android を無視するわけにはいかないという気持ちと、単純なガジェット所有欲が複合し、昨年の10月頃から Google Nexus 4 を持ち歩いています。

その1ヶ月後には Nexus 5 が、まさか日本でも SIM フリーですんなりと Google Play から登場するとは思わなかったのですが、今現在でも Nexus 4 は満足度の高いデバイスだと思い込むようにしています。先日、ようやく MNVO な SIM を投入したので、 iPhone ユーザーから見た Nexus 4 の感想文をまとめておこうと思いました。

Android 4.4 KitKat

Nexus 4 と Android 4.4 KitKat の組み合わせはとても満足しています。購入当初は Android 4.3 がインストールされていました。ステータスバーやボタンなどの至る所にトロンのような色合いで文字やアイコンが表示されていて、個人的には好きではなかったのですが、 Android 4.4 KitKat にアップグレードしたことで薄いグレーになりました。

Android OS 自体はそれまでにも Genymotion や会社に置いてある HTC J Butterfly 、一時期所有していた Google Nexus 7 (2012) などで感覚は分かっていたので、 iOS から移ってきて戸惑うと言うことはありませんでした。

やっぱり IME を Google 日本語入力や iWnn 、 ATOK に切り替えできるのは Android の特権だなぁと感じます。 iOS と異なり、長文を一気に打ってもお馬鹿な変換をすることが少ないですし、一度変換すればそれをキチンと覚えておいてくれる安心感があります。

一方で Android の良いところと言われているアプリ間連携 (インテント) に関しては、 iOS と比較して言うほどのメリットがあるとは思いませんでした。結局アプリを OS が認識して開くという体験に変わりは無いですし、自分の使っている範疇では iOS とそんなに変わらない印象です。

Nexus 4 というデバイス

今現在はメインデバイスが iPhone 5s ですが、 Nexus 4 は画面が大きく、 iPhone 5s Case を付けた iPhone とほぼ同じ厚みで、ギリギリ片手でも使えるかなぐらいの横幅です。 versus サイト上で大体のサイズ感が掴めると思います。購入時はケースを付けていて、最近は公式バンパーケースを付けていましたが、今は前面と背面にアンチグレアフィルムだけ貼ってケースは外してしまいました。分厚くなりすぎる印象があります。

デバイスの性能はとても良い感じです。タッチに対してのレスポンスも十分ですし、画面の表示も綺麗だと思います。ただ、画面の光度調整とカメラの性能は残念です。 iPhone 5s と比較して明らかに暗くなりすぎますし、カメラに関しては Instagram などのエフェクトがかけられるアプリでごまかさないと満足できません。

会社には Nexus 5 があるので、これと並べてみると画面の光度調整は改善されていますが、カメラに関してはやはり、 iPhone 5s の方が好みです。 Nexus 4 と似た感じのデバイスだと、今は Motorola の Moto G でしょうか？あちらはどんな感じなのか、気になりますね。

アプリ

IME に関しては上で述べたとおり、 iOS と違って選択肢があるのでとても良いです。ただ、 iOS のアプリと比較してデザイン面で良いと感じたアプリはありません。 Twitter の公式クライアントは酷いデザインです。 iOS 版もかなり酷いデザインですが、まだマシです。

アプリ全体の統一感は iOS の方が優れていると思います。これは、解像度が限定されているが故に、アイコンや画像がピシッとパーフェクトに表示されたり、ヒラギノや Helvetica などのプレーンでクリーンな書体が良い感じに調和しているからだと思います。 Android アプリは多様な解像度で使われることを想定しているので、どうにもピクセルにフィットした表示が苦手なようですし、書体も iOS より良いとは思えません。また、アプリの見た目や操作間に、統一性がなさ過ぎて混乱もします。

機能面に目を向けてみると、 iOS では体験できないことが Android ではできるなど、自由度が高いように思えます。 Facebook メッセンジャーのチャットヘッドがホームスクリーンにオーバーレイして表示されたり、 Beta 版の機能アンロックができたりします。ブラウザもレンダリングエンジンが異なるものを選ぶことができますし、同じ Google Chrome ならば Android 版の方が JavaScript の実行性能が高そうです (計測はしていません) 。

統一感のない体験というのも、 iOS はアプリ1つ1つで Apple の想定した体験を強要させるのに対して、 Android では Android という OS の上で (端末の上で) 自分だけの体験を作っていくようにデザインされているのかもしれません。そう考えると、アプリの統一性のなさも納得ができます。が、もう少し縛っても良いんじゃないかとは思います。

総評

iPhone と Google Nexus 4 の両方を所有して思うのは、スマートフォンに慣れていればどちらを選んでも良いと言うことです。昔の Android デバイスはタッチの追従が悲惨だったり、スクロールの感触が気持ち悪かったりしましたが、 Nexus 4 ではその悲惨さはかなり薄まりました。

一方、全くの不慣れなユーザ、例えば自分の両親に Android デバイスを勧めるかと言われると、勧めません。今であれば iPhone 5c か iPhone 5s を勧めます (らくらくホンという選択肢もあるかもしれませんが) 。なぜかというと、ユーザー自身が端末上で、自分だけの体験を作るまでの障壁が高いと思うからです。自分だけの体験を作ることができる利点を知らないのに、それが利点になっているものを勧めるだけの説得力がありません。機能的に限定されていたとしても、両親には iOS デバイスを勧めます。

また、これまでに iOS デバイスしか触ったことがない方には Nexus 5 を勧めます。 Nexus 4 と比較しても明らかに性能が高いですし、 IME を自分で選べて、変換もお馬鹿ではないというのは予想以上の快適さを持っています。私としても、 Nexus 5 の発売が分かっていれば、待ってでも Nexus 5 を買ったでしょう。自分だけの体験を作り込めるのは Android の良いところではないでしょうか。 Nexus 4 のスペックで、十分にそれを実感できました。

結論

全くの初心者には iOS デバイスを勧める。 iOS デバイスしか触ったことがないユーザーには Nexus 5 に触れてみることを勧める。あとは慣れの問題。どちらが良い悪いは主観。 Android に慣れたユーザーは無理に iOS デバイスを触る必要は無さそう。